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輪編みの編み方徹底図解 ホームへ
棒針を使った輪編み技法の図解です。歴史的輪編み技法の解説もあります。

1.1 平編みと輪編み

棒針編みで編地を作っていく際の手法は大別して平編みと輪編みの二種類になります。平編みとは二本の棒針を使い、右から左・左から右と往復する順に目を作っていく手法です。この説明はあくまでも編地を片面から見たときの理論的な表現ですが、実際に棒針を使って手編みする場合、段ごとに編地を返しながら、自分から見て常に一方向に編んでいくのが普通です。つまり一段毎に編地の表面を手前にしたり、裏面を手前にしたりしながら編みます。

平編みの編地輪編みの編地
平編みの編地輪編みの編地

これに対して、輪編みとは輪針や四本以上の棒針を使って編目をらせん状に構成していく編み方です。 この編み方では、継ぎ目なしに筒状の編地を作ることができます。もちろん、編んでいる途中で増減目を行い、円錐や球形など自由な立体編地を作ることができます。また、多角形や円盤の編地を作ることもできます。(メダリオンという技法です。)編む際は常に編地の片面を見て編んでいくのが普通です。つまり円筒形の編地の場合、常に外面を手前にしながら編んで行きます。平編みとの違いが良く現れるのはメリヤス編みです。平編みのメリヤス編みの場合、表編み・裏編みを毎段交互に編みますが、輪編みの場合はずっと表編みのみを編んでいきます。

現代の編み物入門者は、だいたい最初にマフラーやアフガンなどの作品を作ることから始めます。つまり、平編みの技法を最初に覚えます。しかしその後、手袋・靴下・帽子など、編み物としては一般的な小物を作るとなると、通常これらはすべて輪編みで作られるものですので、新しく輪編みの技法を覚える必要があります。 また、セーターを作るとき、現在では身頃部分は、前身頃・後身頃に分けて編み、袖部分も平らに編んでとじあわせる技法を使いますが、それでも襟ぐりやベストの袖部分などはやはり輪編みにするのが一般的です。伝統的なセーターになるとさらに極端で、例えばロピーセーターは、身頃・袖を3本の輪編みとし、それらをさらに大きな輪編みでつなぐというような構造になっています。平編みをする部分はありません。 カウチンセーターやファアアイルセーターなどの伝統技法も基本は輪編みです。多くの編み物衣類はごく最近まですべて輪編みで作られるものだったのです。

ベストロピーセーター
ベストの赤い部分は輪編みで編む    ロピーセーターはすべて輪編み

ところが、平編みに慣れた現在の編み物初心者にとって棒針を使った輪編みは平編みよりも格段に難しいものです。しかも、せっかく平編みでマスターした編み方では上手く編めないという事態に直面することもあり、ここで挫折する人もいるようです。超初心者用の編み物本では、首まですべて平編みで編むセーターが紹介されていることもありますが、輪編みをマスターしないと、マフラー以上の作品にステップアップすることは困難です。

楽しい小物
輪編みでしか作れない小物作品

しかし不思議なことに(またしても)、輪編みについて、その難しさや編み方のコツというようなことが書いてある本はほとんど見かけません。輪編みは決して簡単な技法とは言えませんが平編みができればそれほどマスターが困難なものではありません。しかし、輪編みを平編みと同じように速く美しく編むとなると、なかなか大変です。輪編みができる人でも、見ていると編地や棒針の扱いにモタモタしていたりしています。また、編み針を変える部分の編目がゆるむ悩みを持っている人も少なからずいるようです。

しかし輪編みで一番怖いのは、編み針の先がピクピクと脈動するように動いていたり、突然シーソーのように編地が激しく揺れるような編み方をしている人です。このような動きが視野に入ると、自分に直接危害が及ばない距離にいても、ハラハラしてちょっと不安な気持ちになったります。実際、棒針で輪編みをする場合は、玉付針で平編みをするときよりも、編み針の尖った先端が自分自身や周りにいる人の方を向くことが多く、見た目だけではなく、現実の危険性があります。この意味で、合理的で安全性の高い輪編み技法を習得することは、大きく言えば編み物を趣味とする人全部の責任だと言っても過言ではないでしょう。

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