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斜線・曲線の表現 -編地の端の場合 ホームへ
編地の端で増減目をする場合の編図の表現方法

3. 斜線・曲線の表現 -編地の端の場合

編地の端の部分で増減目を行い、編地の形を変化させるというのは編み物の最も基本的な技法のひとつです。 ここでは、編地の両端で減目を行って、台形の編地を作る場合の編図を説明します。

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詳細編図簡易編図

編図に慣れていない方は、上図の左右の編図をよく見比べてください。 特に簡易編図の、4-1-3という表現方法は、簡易編図を読む際の最も重要なポイントですので、 詳しく説明します。

左の詳細編図のように表現されていれば、どの段で減目を行うかは一目瞭然で疑問の余地はありません。しかし、右のような表現では実際にどの段で減目をすればよいのか手がかりがありません。4-1-3 は4段-1目-3回、を省略したもので、これは「4段編む間に、1目減(または増)目を3回繰り返す」と読めます。

この表現の場合、実際の編み方は何種類もありえます。

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(1)(2)(3)(4)(5)

上図は、4-1-3 の指示を元にした編み方ですが、左から減目を行う段が1〜5となっています。違うのは、減目を開始する段で、減目と減目の間はどれも4段になっています。4段の中には、減目をする段も含まれています。つまり、減目をする段が一段、減目をしない段が残りの3段ということになります。

上図のどの編み方をしても、簡易編図の読み方として間違いではありません。ですから、好きに編めばよいと言えるのですが、実際には(5)の編み方がよく使われます。もし、もともとの編図のデザインが斜線を作ることを意図していたと仮定すると、(4)の編み方がもっともふさわしいように思えますが、(4)で編むことはほとんどありません。その理由は、(2) および (4) で編む場合、減目をする段が編地を裏から見て編む段になるからです。裏側から編む場合は、実際に編む編み方が編目記号の逆を編まなければならないので、面倒です。ですから、(1),(3),(5)のどれかで編むのですが、(1)と(5)とでは、編地がほぼ一目分くらい(5)の方が大きくなります。実際の編み物作品で、斜線や曲線が使われるのは、脇や襟ぐりなどですが、この部分はとじはぎを行ったり、拾い目をする部分になります。

ここで問題となるのは、編み物を製図する際に「とじしろ」を計算しないということです。洋裁の場合、縫い代を入れないで裁つというようなことは考えられませんが、編み物の場合は例えば脇をすくいとじにする場合、身頃の編目4目分が「しろ」として消えてしまいますが、この分は製図の計算に入っていません。編地は服地とちがって伸縮性があるため、厳密な考え方をしてもそれに見合う効果はもともと得られません。まして、手編みとなれば、どのような名人上手が編んでもそう正確には編めませんし、海外の手編み糸などは毛糸の太さが均一でなはく、もともとそんなに正確なサイズに編み上げることを想定してはいません。

このような理由で、編み物の製図はとじしろがないのですが、そのために斜線や曲線部分で製図で想定されるラインよりも内側に(小さく)編むと、「とじはぎ」がしにくくなることが多いのです。とくに、ラグランのように編地の最後が尖ったような形になる編地の場合、最後に近い段の一目・二目は結構大切です。

ともかく、斜線や曲線部分の編地はできるだけ大きめに作るほうが後で楽になるということが、経験上分かっていますので、できるだけ大きめになる(5)の編み方で編むことが多いのです。

なお、編図によっては最後に(4段平)のような描き方がしてある場合があります。これは4-1-3の部分を 4×1×3=12 と計算し、全体の編地16段から引いたものです。実際に増減目なしに4段編まなければならないというわけではありません。(5)の編み方をすると、最後にまっすぐ編む段は3段になります。ときどき、「一段おかしくなってしまいました〜」と泣きそうな顔で訴えかけられることがありますが、まぁ無理もないかもしれませんね。独学の場合はこういうときにストレスがありますが、簡易編図のアバウトさに振り回されないようにしてください。

左右で減目の段が違う場合

上の例は、実際に減目をする段の始まりがさまざまになりうる、ということを示したものですが、その際左右で減目をする段は常に同じにしていました。しかし、これも絶対のルールではなく、簡易編図においては同じ記述であるにもかかわらず、左右の減目の段がずれることもあります。

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詳細編図簡易編図

上の図は、セーターの身頃の脇部分の減目などに出てくるカーブ状の減目です。言うまでもなく、こういう編地の場合、形は左右対称であるべきですが、左の詳細編図を見ると分かるように、左右の減目の位置が一段ずれていて、その結果編地も左右対称ではなくなっています。

なぜこのようなことをするかというと、最初の編地の場合は端の減目が必ず一目減目だったのに対して、この編地は端の減目が一段で2〜3目と多いところがあるからです。編地の端で二目以上の減目をする場合、編み始めでないと減目しにくいというのが理由です。平編みの場合、編地をひっくり返しながら編む関係で、編み始めの段は常に左右で一段ずれています。このため、編み始めで減目をしようとするとどうしても減目する段が左右で一段ずれてしまいます。

潔癖な人にとっては不愉快に感じるかもしれませんが、編み物の場合、左右対称であるべき編地でも、場合によっては一段のずれが生じることは構わない、というのが基本的なスタンスです。もちろん、むやみにずらす必要はありませんが、ずれてしまう場合は気にせずそれを許容するということです。 本を見て編み方を勉強する人の中には、なんとか左右対称にしようとして反対側から糸をつけたりするようなことをされる方もいるようですが、実際にはそのような努力はあまり報われません。左右の一段のずれは気にしないで編みやすい方法で構わない、と割り切ってください。

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